ドラマ版『僕だけがいない街』~感想~

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(C)2017 ドラマ「僕だけがいない街」製作委員会

 

2017年 日本

 

タイムリープ・サスペンスの傑作 

 

Netflixにてドラマ『僕だけがいない街』を観ました。

 

同名のヒット漫画の実写化作品です。

 

好きな作品だったので、Netflixで実写ドラマ化されたと知り、観てみることにしました(Netflixは入会一か月間は無料で視聴できるのです)。

 

簡単に言うと、この作品は「タイムリープ・サスペンス」です。

 

「タイムリープ」とは「今の記憶を保ったまま、過去の自分自身に戻ること」です。

 

主人公の藤沼悟(29歳)が、あることをきっかけに、小学校時代にタイムリープするところから、話が展開していきます。 

 

序盤のあらすじ

 

主人公・藤沼悟は、売れない漫画家。いつもテンション低くて、冷めていて、他人に心を開くのが苦手な男です。

 

ただ、「ときどきタイムリープすることがある」という点だけ、人と違っているのでした。その現象を悟は「リバイバル」と名付けます。

 

その「リバイバル」は、せいぜい数分前に戻る程度のもので、いつも決まって「近くで何か事故が起こるとき」に発生します。

 

そのため悟は、数分前に「リバイバル」しては、周囲から事故の前兆となる「違和感」を探し出し、そして事故を未然に防ぐ、ということを今まで繰り返してきたのでした。

 

ところがある日、今までとは比較にならない「衝撃的な事故」に遭います。それは「母親の死」でした。

 

そして、それをきっかけとして、悟は小学校時代にまで「リバイバル」してしまいます。

 

29歳から11歳の頃へと「リバイバル」してしまった悟は、この時代から人生をやり直すことが、母親の死を防ぐためになるのだろうと考えます。

 

しかし、一体何をすればいいのか?

 

その翌日、小学校の教室で席に着くと、当時、誘拐殺人事件の被害者となった女子・雛月加代が、そのときはまだ教室にいることに気が付きます。

 

悟は「今はまだ事件の前なのか」と考えながら、何げなく加代のことを見てると、ある「違和感」に気が付くのでした。

 

悟は、加代の死を防ぐことを決意します。

 

大人の視点で過ごす子供時代

 

過去にタイムリープした日、家で母親と夕食をとっているときに悟はこう思います。

 

なんて幸せな時間なんだ。…なにげなく過ごしていた、なにげなく流れていった、俺が失ってしまった時間…

 

子供の時は何とも思ってなかった、日常のなにげない時間。けど、二度と戻らない時間。大人になったからこそ、その価値に気が付くことってありますよね。個人的に、共感したシーンです。

 

そして悟は加代に対して積極的に関わっていきます。つれなくされても気にせず話しかけにいきます。

 

何言われても、悟にとって相手はしょせん子供なので、いちいち傷つきません。29歳の余裕です(笑)。そんな悟に、加代もだんだん心を開いていきます。

 

他人に心を開くのが苦手だった悟が、子供時代に戻ってからは、積極的に行動する熱い男になってるのも面白いですね。もちろん、それは加代を救い、母親を救うために、本気になった結果、そうなったわけですけども。

 

質の高い実写化作品

 

本作は、原作の世界観を壊さずに、そのうえで実写の良さがプラスされている、実写化モノとしてはとても出来のいい作品だと思いました。

 

特に、冬の北海道の街の息吹、雰囲気、空気感が、画面越しに伝わってくるのが、実写ならではですね。出演者の吐く息が白くて、風が吹くと本気で寒そうにしてるのがリアルです。

 

そして、ところどころに差し込まれる、苫小牧(このドラマの舞台)の街のカットがすごく美しいです。

 

メインの子役二人も素晴らしいです。

 

主人公・悟役の男の子は「見た目は子供、中身は29歳」という、子役が演じるにはなかなか難しそうな役をしっかりこなしてました。

 

加代役の女の子も、加代の薄幸さと、だんだん心を開いていくところを、うまく表現していました。

 

君たち本当に子供か?と思いましたよ(笑)。

 

気になった点

 

一方で、気になった点もありまして。

 

・展開がやや駆け足かも

 

このドラマは1話25分の全12話です。原作のボリュームからすると、少し尺が短めです。そのため、ところどころ端折られてるシーンがあり、やや駆け足に感じる部分がありました。原作未読の人は気にならないかもしれませんが。

 

・愛梨のキャラに少し違和感

 

現代パートのヒロイン、愛梨に少し違和感がありました。

 

これは演じてる女優さんのせいではないと思います。原作とほぼ同じキャラとして描かれてるからです。たぶん、漫画やアニメだと全然気にならないキャラなんです。けど、そのまま実写にすると、急に不自然になってしまう感じでした。リアリティに欠けるというか…。シリアスものなので、余計にそう感じたのかもしれません。

 

それと、原作では、愛梨が悟に肩入れする理由が明かされているのですが、ドラマ版ではそのくだりがカットされています。そのため、たんに「主人公にとって都合のいいヒロイン」みたいになってしまってると感じました。

 

個人的にそこだけ「惜しいな」と思いました。

 

まとめ

 

全体的には、面白かったです。

 

ストーリーはほぼ原作をなぞっています。

 

なので原作既読の人は、実写で原作の世界観を楽しめますし、原作未読の人は、純粋にサスペンスものとして楽しめると思います。

 

映像のクオリティは、民法地上波では出せないレベルのものだと感じました。特に、映画のような美しいカットが次々と映し出されていくところなんかは圧巻です。

 

シーンが切り替わる時に挿入される街の風景が、どれもハイセンスかつ郷愁を誘うような素晴らしい画で、思わず見とれます。ストーリーとはあまり関係ない部分ですが、ドラマのテンポを殺すことなく、さりげなくそういうシーンを盛り込んでくるあたりに、芸術性すら感じました。

 

キャスティングも良いですね。「いま旬の〇〇を使う」みたいなことではなく、あくまでも「役に合う人を使う」というスタンスを感じました。

 

作り手の気概を感じるドラマです。

 

わざわざNetflixに入会してまで観た甲斐がありました(笑)。 

 

 

 

ちなみに「したっけ(じゃあね)」という北海道の言葉を、この作品で初めて知りました。

 

というわけで、

 

 

 

したっけ!(さっそく使ってみる!)

 

 

 

評価:★★★★☆(4/5点)